葛根湯の服用ガイド|風邪のひき始めに役立つ正しい飲み方とセルフケア
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「少し寒気がする」「肩や首が張る」「今日は早めに休んだほうがよさそう」——そんなかぜのひき始めに用いられるのが、昔から親しまれてきた漢方薬のひとつ、葛根湯(かっこんとう)です。
ただ、葛根湯は“風邪っぽい時ならいつでも同じように使える薬”というより、体の状態に合ったときに力を発揮しやすい漢方薬です。そこで、葛根湯が合いやすい症状や飲み方、飲んだあとの過ごし方、食事や水分補給の工夫まで、毎日の暮らしの延長で取り入れやすい形でご紹介します。

目次
30秒でセルフチェック! 今の症状に「葛根湯」は合っている?
あてはまる項目をチェックしてみましょう。
チェックが2つ以上ついた方へ
葛根湯は「熱の出口」をひらき、巡りを整えるのが得意な漢方薬です。「汗をかく前」に服用し、体を温めて休みましょう。
葛根湯は、どんなときに選ばれる漢方薬?
葛根湯は、風邪の初期によく用いられる漢方薬です。特に、寒気がする・首や肩がこわばる・まだ汗をかいていないといったときに、体の状態と合いやすいとされています。
風邪の初期は、体が熱っぽいのに、表面ではうまく熱を逃がせず、何となくゾクッとしたり、肩まわりが固く感じたりすることがあります。葛根湯は、そんな“巡りが滞っている感じ”に寄り添うような処方です。

葛根湯のイメージ
体を内側からじんわり温めながら、発汗や血流の流れを助け、首や肩まわりのこわばりをゆるめていく——そんなふうに捉えると、特徴が分かりやすくなります。
葛根湯を構成する7つの生薬
| 生薬 | 主な役割 |
|---|---|
| 葛根(かっこん) | 首や肩のこわばりをほぐす |
| 麻黄(まおう) | 発汗を促し、熱を外へ逃がす |
| 桂枝(けいし) | 体を温め、血流を整える |
| 芍薬(しゃくやく) | 筋肉の緊張をゆるめる |
| 生姜(しょうきょう) | 体を温め、胃腸の働きを助ける |
| 大棗(たいそう) | 他の生薬の刺激をやわらげる |
| 甘草(かんぞう) | 全体の働きを調和する |
「風邪のひき始め」に合いやすいのは、こんなとき
同じ“風邪っぽさ”でも、葛根湯が合いやすいときには、ある程度の特徴があります。
こんなサインがあるときに
✔ 少し寒気がする
✔ 体が熱っぽい、または頭が重い
✔ 首すじから肩、背中にかけてこわばる
✔ まだ汗をしっかりかいていない
反対に、すでに汗がたくさん出ていたり、ぐったり消耗していたりする場合は、葛根湯のイメージと少しずれることがあります。体の状態によって向く薬は変わるので、「何にでも葛根湯」とは考えず、その時の様子を見ることが大切です。

こんな体質の方は、体のサインに気づきやすいかもしれません
- 肩や首がこりやすい
- 寒暖差で体調を崩しやすい
- エアコンで体が冷えやすい
- 汗をかきにくい
- 風邪の始まりにゾクッとしやすい
- 冷たい飲み物や食事で体調が乱れやすい
こうした傾向がある方は、風邪のひき始めに「首肩が固まる感じ」「表面が冷たい感じ」に気づきやすいことがあります。
葛根湯は、できるだけ早めがポイント
葛根湯は、“おかしいな”と思った早い段階で使うのがポイントです。熱や咳が強くなりきってからではなく、「今日は冷えるな」「首のあたりが張るな」「風邪をひきそう」と感じたタイミングのほうが、処方の特徴に合いやすくなります。
服用タイミングの目安
・理想は、違和感を覚えてから半日以内
・遅くとも1日以内をひとつの目安に
・汗がしっかり出ている場合は、別の選択肢が向くことも
葛根湯服用のちょっとしたコツ
- 食前または空腹時に服用する
- 白湯やぬるめのお湯でわって服用する
- 服用後に体を冷やさない
白湯のほうが体を冷やしにくく、風邪の初期には取り入れやすい飲み方です。

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服用のあとは、「温めて、休む」を基本に
葛根湯は、服用後の過ごし方も大切です。服用してから冷たい風に当たったり、無理に動いたりすると、せっかく整えたい流れが乱れやすくなります。まずは、体を冷やさず、無理をせず、静かに休むことを意識してみてください。
1.首もと・肩まわりを冷やさない
薄手の羽織りやストール、首まわりの保温などで、寒気を感じやすい部分をいたわると過ごしやすくなります。
2.少し汗をかいたら汗冷え注意
汗で体が冷えると、寒気やだるさが戻ることがあります。汗をかいたら拭き取り、必要に応じて着替えましょう。
3.水分は“こまめに、冷やしすぎず”
一気飲みより、少しずつ。常温の水、白湯、体調に応じた飲み物を無理のない範囲で補いましょう。
4.がんばって汗をかこうとしない
厚着や長風呂で無理に発汗させると、かえって疲れることがあります。心地よい範囲で温かくする程度が安心です。
食事は“軽めで、温かく、やさしく”
風邪のひき始めは、体の中では思った以上にエネルギーを使っています。とはいえ、食欲が落ちている時にしっかり食べようとすると、かえってしんどくなることもあります。そんな時は、胃腸に負担の少ない温かいものを、少しずつが基本です。

取り入れやすいもの
- おかゆ
- うどん
- やわらかい雑炊
- 温かいスープ
- 湯豆腐など消化のよいもの
少し控えたいもの
- 冷たい飲み物
- 脂っこい料理
- 刺激の強いもの
- 一度にたくさん食べること
また、発汗や発熱で水分が不足しやすいときには、状況に応じて経口補水液が案内されることもあります。OS-1の公式情報でも、脱水状態に応じた摂取目安や、医療者・薬剤師・登録販売者の指導に従うことが示されています。
暮らしの中で覚えておきたい一言
飲んだら温めて休む。食事は軽めに。水分はこまめに。
それだけでも、体はずいぶん楽になることがあります。
葛根湯の多用法の例

たとえば、こんな場面で
肩・首筋のこり、張り
デスクワークや冷えで首や肩がこわばりやすいとき、体を温めて巡りを整える
筋肉痛
体が冷えて筋肉がこわばっているような場面では、緊張をやわらげ、巡りを助ける
頭痛・頭重感
首や肩の張りと一緒に、頭が重い、締めつけられる感じがあるときに
冷え性・冷房による不調
冷えで肩・首・背中が固まりやすい方や、冷房でつらさを感じやすい方に
ただし、自己判断で長く使い続けるのは避けましょう。
同じ肩こりや頭痛でも原因はさまざまです。症状が続くとき、繰り返すとき、強い痛みがあるときは、医師・薬剤師・登録販売者に相談するのが安心です。
迷ったらどっち?
似ている漢方薬との違いと使い分け
「風邪のひき始め」といっても、体の状態は人それぞれ。葛根湯がベストな時もあれば、別の漢方薬が向いている時もあります。スライドでも紹介した「汗の有無」と「症状の場所」で見極めましょう。
| 漢方薬名 | 向いている状態(証) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 葛根湯 | 寒気がある・ 汗は出ていない |
首や肩のこわばりが強く、体力がある程度ある方に。 |
| 麻黄湯 | 強い寒気・高熱・ 汗は出ていない |
節々の痛みや、インフルエンザのような強い症状に。 |
| 桂枝湯 | 寒気がある・ じわっと汗ばむ |
体力があまりなく、自然に汗が出てしまう方の風邪に。 |
| 小青龍湯 | 水っぽい鼻水・ くしゃみが出る |
「鼻風邪」や花粉症など、水が滞っている症状に。 |
💡 大切なポイント:「上半身か下半身か」
葛根湯は「首から上、肩から背中にかけて」の上半身の症状に非常に相性が良い処方です。
反対に、スライド資料にもある通り、下半身の冷え・むくみ・腰痛・排尿トラブルにはあまり適応しません。下半身の不調や、慢性的な冷えが気になる場合は、【八味地黄丸(はちみじおうがん)】など、別の選択肢がおすすめとなります。
服用前に気をつけたいこと
葛根湯は比較的知られた漢方薬ですが、誰にでも同じように向くわけではありません。次のような場合は、服用前に確認しておくと安心です。
- 高血圧のある方
- 心臓病のある方
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方
- 体力がかなり落ちている方
- すでに汗を多くかいている方
- 症状が長引いている方
また、岡山大学病院薬剤部の患者向け資料でも、葛根湯は「汗のでていない風邪の初期」に合いやすい旨が案内されています。自分の今の状態と合っているかを見ることが大切です。
※ 持病のある方、他の薬を服用中の方、小児・高齢者・妊娠中の方は、医師・薬剤師・登録販売者へご相談ください。
葛根湯に関するよくあるご質問(FAQ)
Q. 葛根湯を飲む一番良いタイミングはいつですか?
A. 「ゾクッ」とした寒気や肩・首の張りを感じた、風邪のひき始め(汗をかく前)が最も効果的なタイミングです。「まだ風邪ってほどじゃないし…」と迷うくらいの早い段階で服用し、体を温めるのが肝心です。
Q. 服用した後に汗が出てきたら、どうすればいいですか?
A. 汗が出てくるのは回復の兆しです。汗をかいたらこまめに拭き取り、必要に応じて着替えをして「汗冷え」を防ぎましょう。ただし、厚着のしすぎで汗がこもりすぎると逆効果になるため、無理に発汗させようとせず、自然な発汗に任せてゆっくり休みましょう。
Q. 栄養ドリンクと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. はい、おすすめです。発熱や発汗が起こるとエネルギーを大きく消費するため、ビタミンB群やアミノ酸が入った栄養ドリンクを併用することで、効率的な体力回復が期待できます。ただし、カフェイン配合のドリンクを飲む際は、水分補給もあわせて意識してください。
Q. 腰痛や下半身の冷えにも葛根湯は効きますか?
A. 葛根湯は主に「首から上、肩から背中にかけて」の上半身の症状を得意とする処方です。下半身の冷えやむくみ、腰の不調にはあまり適応しません。下半身のトラブルや慢性的な冷えには、【八味地黄丸(はちみじおうがん)】などの別の漢方薬が向いています。
Q. 他の風邪薬と一緒に飲んでもいいですか?
A. 市販の総合感冒薬には、葛根湯と同じ成分(マオウやカンゾウなど)が含まれている場合があり、過剰摂取になる恐れがあります。併用を希望される際は、必ず医師や薬剤師、または配置薬の担当者にご相談ください。
葛根湯は「早めに気づいて、やさしく整える」ための選択肢
葛根湯は、寒気がして、汗がまだ出ておらず、首や肩がこわばるような風邪のひき始めに合いやすい漢方薬です。
おさらい
✔ 少しおかしいな、と思った早めの段階で
✔ 白湯などで飲み、体を冷やさず
✔ 無理をせず、温かくして休む
✔ 食事は軽く、水分はこまめに
慌ただしい日ほど、体の小さなサインは見過ごしやすいものです。だからこそ、「今日は少し早めに整えておこう」と立ち止まるきっかけとして、葛根湯の特徴を知っておくことは、暮らしの中の心強い備えになるかもしれません。
参考リンク
体調のゆらぎに、日頃の備えを
風邪のひき始めは、「今あると助かる」が実感しやすいタイミングでもあります。
ご家庭や職場の常備薬を見直したい方は、配置薬・常備薬の考え方や備え方もあわせてご覧ください。
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