2026/08/30
企業の防災備蓄管理と従業員の健康支援 企業の防災備蓄は、購入して保管すれば完了ではありません。期限、数量、保管場所、入れ替え時期まで把握できて、初めて「必要なときに使える備え」になります。 2026年に公表された「企業の防災備蓄品管理に関する実態調査」では、備蓄管理に関わる担当者の多くが、期限切れや廃棄、継続管理の負担を経験していました。問題は備蓄品が足りないことだけでなく、調達後の管理を続けられる仕組みがあるかという点にあります。 出典:株式会社日本パープル「企業の防災備蓄品管理に関する実態調査 2026」。上記は、勤務先の防災備蓄品の管理実務または意思決定に関与する担当者を対象とした調査結果です。 飲料水や非常食、簡易トイレ、衛生用品、救急用品など、企業の防災備蓄品は多岐にわたります。導入時には必要数を計算して一斉に購入しても、その後は従業員数や拠点、商品の期限が少しずつ変わっていきます。 たとえば、異動や増員後も数量を見直していない、複数拠点の保管状況を一元化できていない、担当者の交代時に台帳の更新方法が引き継がれていない、といった状態です。棚に物が並んでいても、期限が切れていたり、必要数を満たしていなかったりすれば、有事に十分な役割を果たせません。 企業の備えでは、購入予算だけでなく、誰が・いつ・何を確認し、どのように入れ替えるかまで決めておくことが重要です。防災備蓄を「保管物」ではなく、更新を続ける業務として捉える必要があります。 株式会社日本パープルが2026年8月に実施した調査では、防災備蓄品の管理に関与する担当者1,202名のうち、77.3%が管理に課題を感じていると回答しました。また、期限のある備蓄品を扱う回答者1,172名では、68.8%が「期限切れ」または期限に伴う「廃棄」のいずれかを経験しています。 一方、期限前の消費・配布・寄付によって廃棄を避けた経験がある担当者は43.9%でした。つまり、期限を早めに把握し、その後の使い道まで決めておけば、廃棄を減らせる余地があります。 ※複数回答を含みます。68.8%は各選択肢の単純合計ではなく、「期限切れ」または「廃棄」を一つ以上経験した回答者の割合です。本調査は防災備蓄品の管理に関与する担当者を対象としており、全国すべての企業を代表する標本ではありません。 防災備蓄に関する業務では、購入先の選定や発注が大きな負担と思われがちです。しかし同調査で負担の上位に挙がったのは、すべて調達後の状態を把握する工程でした。 買う作業は一度で終わっても、期限確認や棚卸、補充、廃棄判断は繰り返し発生します。特に総務担当者が防災以外の業務も兼務している事業所では、総務担当者が防災以外の業務も兼務しているケースが少なくありません。更新作業が後回しになりやすいのは、担当者の注意不足というより、管理を個人の頑張りに頼る運用そのものに原因があると考えられます。 導入担当者は決まっていても、購入後の棚卸・更新担当や代行者が明文化されていないと、日常業務の中で確認が後回しになります。 表計算ソフトや紙に記録があっても、実際の使用や移動が反映されなければ、帳簿上の数量と現物にずれが生じます。 期限前に気づいても、社内配布や訓練での活用、寄付などの扱いを決めていなければ、結局は廃棄になりやすくなります。 同調査では、管理上の問題を一つ以上経験した担当者が83.4%にのぼり、最も多い問題の分類は「属人化・引き継ぎ」の36.4%でした。担当者の記憶だけではなく、誰が見ても期限・数量・保管場所・次回確認日がわかる状態にすることが、継続できる防災備蓄管理の土台になります。 備蓄を「使える状態」に保つために
備蓄品は、期限が来てから交換するのではなく、期限前に日常使用や防災訓練へ回せるよう、
あらかじめ「社内入れ替え日」を決めておくことがポイントです。
商品に記載された期限を確認し、余裕を持って更新計画を立てましょう。 購入時に、商品記載期限と保管場所を台帳へ登録します。 3~12か月前を目安に、使用・訓練・交換の準備を始めます。 使用後は数量を見直し、必要数を速やかに補充します。 無料・登録不要
お手持ちの備蓄品を登録すると、次に点検・入れ替えを始める時期を一覧表示できます。
作成した台帳はExcelまたはCSVでダウンロードできます。
入力内容はサーバーへ送信されず、お使いのブラウザー内に保存されます。 ブラウザーの履歴や保存データを消去すると、この画面の登録内容も削除される場合があります。定期的なExcel・CSV出力をおすすめします。 企業の健康支援でも、似た構造が見られます。別の2026年調査では、企業で働く20代~50代の正社員516名のうち45.1%が、体調不良を抱えながら仕事を休まず働く「がまん出勤」を経験していました。その経験者の74.7%は、業務に何らかの支障が「あった」「どちらかというとあった」と回答しています。 支障の内容は「集中力が低下した」が78.2%、「作業スピードが落ちた」が60.9%でした。体調不良をがまんしたまま働くことは、本人のつらさだけでなく、生産性低下リスクの一因になり得ます。
防災備蓄は、購入して置いてあるだけでは、必要なときに十分機能しません。
健康支援も同様に、制度や相談窓口があっても、従業員に知られていなかったり、
利用しにくかったりすれば、早期対処にはつながりにくくなります。
チェックが付かない項目があれば、今後の整備候補として確認してみましょう。
総務担当者が症状を判断したり、服薬を指示したりする必要はありません。
「休む」「相談する」「受診する」「軽い不調に対処する」という選択肢へ、
従業員がアクセスしやすい環境を整えることが大切です。
法人向け配置薬では、職場に常備薬を設置するだけでなく、
担当者が定期的に訪問し、使用状況・数量・使用期限を確認します。
使用分の精算や医薬品の補充・交換まで行うため、
総務担当者だけで常備薬管理を抱え続ける負担を抑えやすくなります。
経済産業省が推進する健康経営
では、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、
健康の保持・増進につながる取り組みを戦略的に実践することが重視されています。
配置薬だけで健康経営が実現するわけではありませんが、
早期対処しやすい職場環境をつくる具体策の一つとして位置づけられます。
※この「がまん出勤」の調査は、配置薬の導入効果を検証したものではありません。
配置薬は、すべての体調不良やプレゼンティーズムを防ぐものではなく、
休養、医療機関への受診、産業保健体制などと並ぶ
早期対処を支える選択肢の一つです。
症状が強い場合、長引く場合、緊急性が疑われる場合は、
医療機関への相談・受診を優先してください。
企業の防災備蓄管理を見直す際は、品目を増やす前に、
今ある備蓄を継続して使える状態に保つ仕組みを確認しましょう。
最低限、次の4項目を一つの管理表やルールにまとめておくと、
担当者が変わっても状態を追いやすくなります。
防災備蓄は、社内で管理担当者と更新ルールを決めることが基本です。
一方、日常的に使用する常備薬は、使用状況の確認、期限管理、
補充・交換まで継続して行う必要があります。
この常備薬管理の一部を外部の担当者に任せられる仕組みが、
法人向け配置薬です。
次章では、配置薬によって総務担当者の管理負担をどのように抑えられるのか、
具体的な運用の流れを見ていきます。 常備薬や救急用品は、飲料水や非常食と同じく期限や使用状況の確認が必要です。一方で、医薬品は従業員の体質、服用中の薬、症状によって適否が異なります。備える品目だけでなく、使用上の注意を確認できる状態や、必要に応じて医療機関・薬剤師へ相談できる案内も整えておきましょう。 企業が自社で購入・管理する方法のほか、常備薬については配置薬の仕組みを利用する方法があります。 配置薬は、水、食料、簡易トイレ、衛生用品、電源などの防災備蓄を代替するものではありません。また、従業員が個別に処方されている医薬品の備えは、本人が医師・薬剤師と相談して準備する必要があります。企業全体の備蓄計画の中で、常備薬の管理を補完する仕組みとしてご検討ください。 本記事では「企業が備蓄を管理し続ける仕組み」に焦点を当てました。災害時の体調管理や、オフィス常備薬の具体的な見直し方法は、次の記事で詳しくご紹介しています。 三洋薬品HBCでは、事業所の従業員数や働き方を伺い、法人向け配置薬の設置内容をご案内しています。期限管理が気になる、複数拠点の管理負担を軽減したい、防災と日常の健康支援をつなげたいという段階からご相談いただけます。資料請求のみでも構いません。 電話受付:平日 9:00~20:00/土日祝 9:00~18:00 A.配置薬は、企業の防災備蓄の一部を補完する仕組みです。水、食料、簡易トイレ、衛生用品、照明・電源などは、事業所の人数や立地、BCPに合わせて別途準備してください。 A.利用を強制せず、製品の表示や添付文書を確認したうえで本人が判断できるようにします。持病、アレルギー、妊娠・授乳中、服用中の薬がある場合や、症状が強い・長引く場合は、医師または薬剤師への相談・受診を案内してください。 A.主担当者を決めるだけでは不十分です。代行者を置き、期限・数量・保管場所・確認履歴・次回対応日を共有できる形にしておくことで、異動や不在時にも運用を継続しやすくなります。 本記事は公開された調査結果を基に、企業の防災備蓄管理と健康支援の観点から独自に構成・解説したものです。1.防災備蓄は「購入した時点」で完成ではない

2.担当者の68.8%が期限切れ・廃棄を経験
3.負担が大きいのは調達より「期限・数量・入れ替え」
4.備蓄管理が属人化する3つの理由
担当と確認時期が曖昧
台帳と現物が離れている
入れ替え後の出口がない

5.防災備蓄品はいつ見直す?
カテゴリ別・入れ替え時期の目安
期限を記録する
期限前に動かす
使った分を補充する
備蓄品カテゴリ 点検頻度の目安 社内入れ替えの目安 期限前の活用例 飲料水・非常食 3か月ごと 賞味期限の3~6か月前 防災訓練、社内配布、昼食・残業食 長期保存食・大量備蓄 3か月ごと 賞味期限の6~12か月前 訓練食、社員への配布、寄付先の検討 一般用医薬品・救急用品 3~6か月ごと 使用期限の約6か月前 使用を促さず、期限・開封状態を確認して交換 マスク・手袋・衛生用品 6か月ごと 使用期限の6~12か月前 日常業務や感染症対策へ回して補充 乾電池・懐中電灯・ラジオ 6か月ごとに動作確認 表示期限を優先し、電池は年1回の交換を検討 時計やリモコンなど日常機器で使用 カセットボンベ 年1回 製造から6年程度で日常使用へ 訓練や社内イベントなどで安全に使い切る 簡易トイレ・使い捨てカイロ 6~12か月ごと 商品記載期限の約1年前 一部を防災訓練で試用し、使用方法も確認 毛布・ヘルメット・工具類 年1回 固定年数ではなく、破損・汚れ・劣化で判断 清掃、動作確認、破損品の交換 防災備蓄品 入れ替え時期チェッカー
カテゴリ・品名 数量 購入・製造日 商品記載期限 入れ替え・点検目安 判定 保管場所・担当 操作 まだ備蓄品が登録されていません。 計算方法とご利用上の注意
6.「管理されない備蓄」と「がまん出勤」の共通点

防災備蓄と健康支援に共通する「5つの管理視点」
管理の視点 防災備蓄 従業員の健康支援 どこにあるか 保管場所を共有する 相談窓口、休養場所、常備薬の場所を周知する いつ使うか 配布・使用の基準を決める 休養・相談・受診・セルフケアの目安を伝える 誰が管理するか 点検担当者と代行者を決める 総務、上司、産業保健スタッフなどの役割を整理する 使える状態か 期限・数量・破損を確認する 相談先の変更、常備薬の期限・数量などを確認する 使用後どうするか 使用分を補充し、台帳を更新する 必要なフォローや補充を行い、体制を見直す
早期対処できる職場環境チェック
休養・相談・受診につながる体制
身近な早期対処と常備薬の継続管理
7.防災備蓄を「物」から「運用」へ変える
管理項目 確認する内容 運用のポイント 期限 何が、いつ期限を迎えるか
期限の短い順に一覧化し、確認日と入れ替え予定日を分けて記録する 数量・場所 どの拠点・保管場所に、いくつあるか
従業員数や拠点変更時に必要数を見直し、台帳と現物を照合する 担当・引き継ぎ 主担当者と不在時の代行者は誰か
更新手順、連絡先、直近の確認履歴を共有し、個人の記憶に依存しない 入れ替え後 期限前の商品をどう扱うか
社内配布、訓練での活用、寄付などを、
社内ルールと提供条件に沿って事前に決める 8.常備薬・救急用品の管理方法を選ぶ
三洋薬品HBCの配置薬では、担当者が定期的に訪問し、使用分の確認、補充、期限管理を行います。企業の担当者だけで管理を抱え込まず、日常の健康支援と必要時の備えを維持しやすい点が特徴です。
9.関連記事で詳しく確認する
10.薬を増やす前に、管理方法を見直しませんか?
※お申し込み後、担当者より設置内容や訪問日程などを確認いたします。よくある質問
Q.配置薬があれば、企業の防災備蓄は十分ですか?
Q.従業員の常備薬の利用は、どのように案内すればよいですか?
Q.備蓄管理の担当者を一人に決めれば、属人化は防げますか?
各調査は配置薬の導入効果を検証したものではありません。


